#04

リノベーションの費用と相場

リノベーションの費用の目安や埼玉の相場は?注意点や節約のポイントも徹底解説

オーダーメイドでゼロから作りあげるリノベーションは、既製品のような定まった価格がなく、工事内容によって価格が変わってきます。それだけに初めてリノベーションを検討している方にとって、「どれくらいの費用がかかるのか」の見当がつかないのではないでしょうか。

そうはいっても費用に目安をつけないと、どんどん金額が膨れ上がってしまいます。そこで今回は、リノベーションをする上での必要な費用について解説します。

リノベーションに関わる費用の内訳は?

リノベーションに必要な費用は、おおよそ次の3つに分かれます。

  • 物件購入にかかる費用
  • リノベーション工事にかかる費用
  • その他の費用

それぞれの費用の内訳について解説していきましょう。

物件購入にかかる費用

これから中古住宅や中古マンションを購入してリノベーションをしたい場合には、物件購入費用だけでなく、それに関わる諸経費が必要となります。具体例としては以下の通りです。

かかる費用 費用内容
物件購入費 物件代金、不動産売買契約書に貼る印紙代
固定資産税&都市計画税清算金 一年分を売主が支払い済みなので、日割り計算する
仲介手数料 売買価格の「3%+6万円(税別)」
登記費用 所有権移転登記、抵当権設定登記
住宅ローン費用 事務手数料、保証料、住宅ローン契約書に貼る印紙代

なお、諸経費は戸建てなら物件価格の6%~10%マンションなら5%~8%が一つの目安となります。

リノベーション工事にかかる費用は?

リノベーション工事にかかる費用は、解体費、残材処分費、材料費、設備費、職人の人件費、現場管理費、デザイン・設計費などがあげられます。

さらに工事自体では、さまざまな工種の職人が関わります。そのぶん人件費がかかり、総工費の1/3程度になります。参考までに、各工種について紹介しましょう。

工種 工事内容
解体工事 不要な内装や壁を撤去。産業廃棄物として処分する費用もかかります
仮設工事 工事期間中一時的に設ける足場や仮設水道、仮設トイレの設置など
大工工事 大工による木工事※耐震補強なども含む
電気工事 電気配線やコンセント・スイッチ・照明器具の取り付けなど
内装工事 壁紙(クロス)貼りなど
サッシ工事 窓やサッシ、玄関扉の交換、調整など
板金工事 金属薄板の加工や取り付けなど
設備工事 キッチン・風呂・トイレなど住宅設備の設置
配管工事 上下水道の配管など
ガス工事 給湯器やガス配管の設置など
左官工事 壁などの仕上げにモルタルや塗り壁を使う
外壁工事 一戸建ての外壁塗装
屋根工事 一戸建ての屋根のを葺き替える
断熱工事 断熱材の吹き付けや充填など
営繕工事 シロアリ駆除など

なお、リノベーションといっても、骨組みだけ残して全て解体する改修、部分的に行う小規模な改修があります。次の項目では、その解説も含めた「埼玉におけるリノベーション費用の相場」を記載しましたので参考にしてみてください。

その他の費用

上記以外にも、さまざまなリノベーションにかかる費用があります。具体例としては以下の通りです。

その他の費用 費用内容
近隣あいさつの粗品 着工前や引越し後のあいさつ回りのときに
引越し費用 リノベーション前後の引越しのためものです
家具・家電・照明器具などの購入費 新しく購入する場合
火災・家財保険、地震保険 新たに加入する場合
住民票・印鑑証明・所得証明 不動産売買契約や住宅ローン契約で必要です
工事車両の駐車場 狭小地など

埼玉県におけるリノベーション費用の相場は?

リノベーション費用は、手がける工事規模によって金額が変わります。

今までの住まいを完全にイメージチェンジさせる「フルリノベーション」であれば、間仕切り壁や内装などをすべて解体するため、大がかりな工事になり、そのぶんの費用がかかります。

プチリノベーション」では、生活スタイルに合わせたレイアウトの変更、使い勝手を向上させる設備機器の交換など、フルリノベーションに比べれば費用を抑えることができます。

それを踏まえ、埼玉におけるリノベーション費用の相場は以下の通りです。

戸建の場合

一般的な広さ(30坪~40坪)で換算したとき、リノベーション費用は以下の通りです。

戸建の場合 費用の目安
フルリノベーション費用 1,800万円~
プチリノベーション費用 1,000万円~

※プチリノベは住宅設備機器の交換/床上張り/内装工事/間取り変更有。外装は塗装中心、サッシ内窓等の価格です。
※築年数等により、価格の大幅な変動があります。

マンションの場合

一般的な広さ(60㎡~70㎡・3LDKタイプ)で換算したとき、リノベーション費用は以下の通りです。

マンションの場合 費用の目安
フルリノベーション費用 1,200万円~
プチリノベーション費用 700万円~

※プチリノベは、住宅設備機器の交換/床上張り/内装工事/間取り変更有の価格です。

リノベーション費用における注意点は?

こだわるほど費用に大きく影響する

ここまでお伝えした以外でも、「どれだけリノベーションにこだわるか」によって費用が変わってきます。
上のグラフは、リフォーム・リノベーションを実施した方の「予算と実際にかかった費用の差」を表しています。
「予算を上回った」と回答した方が26.2%、つまり全体の1/4以上を占めています。いざリノベーションに取り掛かると、次々と新しい要望やこだわりが出てきて、結果予算オーバーしてしまうケースはやはり多いです。
例えば、もし、使用する素材(壁紙や木材など)、キッチンやトイレなどの設備機器を「もっといいものにしたい」と思えば、当然のことながら、それなりの金額になります。
それらのことも想定しておかないと、資金計画でつまずきかねないのでご注意ください。

具体的な費用は見積りで確かめる

何かと費用がかかることはわかったけれど、具体的にはどれくらいの費用になるのだろう・・・。そう思ったものの諸条件があるため、個人レベルで概算費用を出すのはハードルが高くなります。

やはり具体的な費用を知るには、施工会社などの専門家に相談したうえで見積りを依頼するのが近道です。
何をどこまでリノベーションしたいのか、ある程度のイメージを伝え、費用を算出してもらうことでリアルな目安ができます。このとき専門家ならでは指摘やアドバイスがもらえるので、予算を立てるのに大変役立ちます。

その後は、施工会社の担当者と話し合い、ディテールを詰めていくことで、見積りと実際にかかる費用のズレを少なくすることができます。

リノベーション費用を節約する6つのポイントは?

見積りを出してもらう場合、リノベーションにかかる費用を少しでも抑えたい。そう思っても、何をどうしていいかわからないのが正直なところでしょう。ここでご紹介するリノベーション費用を節約するポイントは以下の6つです。

  • 優先順位を決める
  • 現状の間取りを活かす
  • グレードダウンも視野に入れ
  • 補助金・助成金を活用する
  • 地域密着の工務店に依頼する
  • 予算をしっかり伝える

それぞれのポイントについて解説していきましょう。

優先順位を決める

これからリノベーションプランを立てるとき、すべての希望を叶えようとすれば予算が膨れあがってしまいます。そこで考えておきたいのが、「何をどこまでするのか」優先順位を決めておくことです。

まずは「間取りをすべて変えたい」「アイランドキッチンにしたい」など、やりたいことをリストアップします。そのうえで家族が強く希望している項目などを目安に、譲れない部分や好みの素材や設備を決めておくと良いでしょう。そうすることで予算オーバーしたとき、優先度の低い箇所を省くことができます。

なお、リノベーションする際、使用する材料・設備のグレードが高いほど費用が高くなります。優先順位を付けておくことで、グレードの低いものに変更する目安にもなります。

現状の間取りを活かす

現状の間取りから大幅にレイアウトを変える場合、そのぶん費用が上がります。
例えば間仕切り壁の撤去の場合だと、撤去する間仕切り壁が多くなるほど、解体の手間と産廃処理の費用がかかります。マンションであれば1階まで運び、トラックに載せて処分するコストも考えなくてはなりません。

また、間仕切り壁の追加であれば、付け足す壁が多いほど、材料費や工事費が増えていきます。当然のことながら壁紙(クロス)をはったり、ドアを取り付けたりする費用もかかります。

また、戸建て住宅のリノベーションの場合、「階段を移動」は階段まわりの構造や内装などの工事が必要となり、費用が高くつきます。この他で費用がかかるものとしては、「水回り」「排水管」「玄関の位置変更」などの大幅な移動です。

こうしたことから、費用を節約したいのであれば、なるべく「今の間取りを活かす」リノベーションプランを立てること。さらに設備などの大幅な移動を避け、既存の設備などを活かすことがポイントになります。

グレードダウンも視野に入れる

キッチンや浴室、トイレなどの住宅設備は、こだわるほど高額になる傾向があります。それだけにリノベーション費用を圧迫する要因となる可能性が高くなります。
もし、少しでもコストを抑えたいのなら、導入したい住宅設備のグレードを下げるのも一つの方法です。

例えば、同じシリーズのキッチンでも、ハイグレードやスタンダードなどのタイプによって価格が違います。ワークトップの素材、収納の形状、水栓の機能などを見て、過剰な機能を避け、不自由のないグレードを選ぶことも視野に入れましょう。

また、メーカーにこだわらず、割引率の高い設備を選ぶことで、より一層のコストダウンを図れます。

補助金・助成金を活用する

リノベーション費用を節約するうえで、補助金・助成金の活用は欠かせません。
例えば耐震性能や断熱性能を向上させたり、ご高齢の方のためのバリアフリー工事をしたりする場合は、一定の要件を満たせば、国や市から補助金・助成金が交付されます。

この他、所得税の控除(省エネ・耐震・バリアフリー・二世帯同居対応などの改修を行った場合に、所得税の控除を受けられる制度)、住宅ローン減税(10年以上の住宅ローンを組んで一定の増改築・リフォームを行った場合に納めた所得税の特別控除を受けられる制度)も賢く利用したいところです。

なお、こうした優遇制度は年度毎に見直しが行われ、内容が変わる場合があります。またリフォームの内容や条件によっては、上記以外の利用できる優遇制度もあります。
ご自身ですべてを調べるのは大変なので、施工会社に相談することをおすすめします。

地域密着の工務店に依頼する

できるだけ費用を節約したいのであれば、依頼先であるリノベーション会社の選定も重要になります。
大手のハウスメーカーや大手のリノベーション・リフォーム会社であれば実績豊富であり、リフォームから耐震補強工事や大規模なリノベーションまで幅広く対応できます。

しかし、実際の下請け工事は外注するため、中間マージンが発生するので工事費用が高くなる傾向にあります。
地域密着の工務店であれば、そうした中間マージンがかからないため、大手会社よりも施工費を抑えることができます。
ただし、少人数の工務店だと経験・知識のある人材が不足している可能性があり、大規模なリノベーションができないこともあります。

そこで地域密着の工務店の中でも、戸建て、マンションの両方とも対応できるのはもちろん、設計から施工まで一貫した施工ができる、ある程度規模の大きい工務店を選ぶのがおすすめです。

予算をしっかり伝える

依頼先の施工会社に対して、早い段階で予算を提示し、「予算内で納めてほしい」と伝えましょう
これにより施工会社は、設備機器のグレード選定から壁や床などの素材などを検討し、予算内で希望を叶えられるプランを提案してくれます。

そこからプランを詰めていけば、いたずらに予算オーバーすることなく、理想のリノベーションが進められます。

まとめ

リノベーションは、部分的なリフォームと比べて設計自由度があるため、間取りやデザインなど「こうしたい」という思いがカタチにしやすくなります。その一方で、要望ばかりが先行すると費用がかかってしまいます。

だからこそ、まずはリノベーションにかかる大まかな費用を知ることが大切です。今回ご紹介した記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

なお、費用に関しては専門性が高いため、リノベーション会社などのプロのチカラは必要不可欠です。
そこで実績豊富で、よい提案をしてくれる、さらに親身になって相談にのってくれる施工会社を選ぶことが大きなカギとなります。
ある程度の知識を得たら、何社か相談を持ちかけてみてください。その中から反応の良かった会社を選び、そこから一歩踏み込んだプランを進めるのが成功への近道となるでしょう。

【監修スタッフ】

無垢スタイルのリノベリフォーム 吉田賢太郎

耐震技術認定者 / 宅地建物取引士 / 外壁診断士

一戸建て、マンション、店舗などリノベーション専門の建築家とコンサルタントと一緒にデザインとコストを意識しながら理想の暮らしを実現していきます。また、中古住宅を購入してリノベーションでは、中古住宅探しからお手伝いをさせていただきます。このスタッフのブログを見る

Articles

×