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マンション・リノベーションの魅力

失敗しない!マンションリノベーションのメリットや費用、中古マンションの築年数の狙い目など総まとめ

住み慣れたマンションだけれど、暮らし方が変わり、内装や設備を変えたい。そう考えた時、ひと時代前であれば、選択肢はリフォームしかありませんでした。

しかし、最近では自由度の高い「マンション・リノベーション」を選ばれる方が増えています。
そうはいっても「リノベーションは耳にしたことがあるけれど、何がどこまでできるの?」
ご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、なぜマンション・リノベーションが選ばれるのか、その理由や注意点などについて解説していきます。

マンション・リノベーションのメリットは?

ライフスタイルに合わせた間取りにできる

新築マンションを購入した後、年数が経つごとに暮らす方のライフスタイルが変化していきます。
例えば、独身で購入した後に結婚されたケース、お子様が成長していくケース、リタイヤメントされたシニア夫婦のケースなどです。

リノベーションであれば、管理規約や条件※をクリアすれば間取りの変更が可能です。もちろん、室内の内装イメージの変更や、最新の設備機器への変更もできます。

※工事ができるのは専有部分です。建物の外観にかかわる部分(外壁・窓・バルコニーなど)や建物の構造部(柱・梁・スラブなど)は共用部分にあたり、工事ができないのでご注意ください。

新築物件と比べ物件が多く、エリアの選択肢が広がる

マンション・リノベーションをしたいと考えたとき、中古マンションを購入して改装するという選択肢もあります。
そうしたとき中古マンションであれば、新築マンションと比べて、幅広いエリアから探すことが可能に。

例えば、駅近で交通アクセスの良い立地、商業施設やスーパーなどが周辺にある立地、公園など住みよい環境が整った立地など、ご希望の立地条件から選びやすいメリットがあります。

上のグラフは、首都圏における「新築マンションと中古マンションの個数の推移」を表しています。近年はマンション全体の供給個数が減少傾向にありますが、以前として中古マンションの方が新築マンションより圧倒的に物件数が多いことがわかります。

ただし、中古マンションを購入してのリノベーションには、注意しなければいけないポイントがあります。
実は中古マンション・リノベーションには、すでに改修されている「リノベ済み物件」と、未改修の中古マンションを自分の好みで改修する「オーダーリノベ」の2パターンがあります。
一長一短があるものの、リノベ済み物件は業者ができる限り安くリノベーションを行う傾向が強く、住んでから「こんなはずじゃなかった」とのトラブル例をよく耳にします。

中古マンション・リノベーションを検討するなら、未改修の物件をプロといっしょに吟味すること。そのうえで、ご自身の好みでリノベーションすることが、高い満足度を得られやすいといえます。
マンション・リノベーションを「高額な買い物に終わらせない」ためにも、さまざまな角度で検討することをおすすめします。

新築マンションより費用が抑えられる

マンションの取得価額は、築年数が経つほどに下降していきます。
築年数が浅い中古マンションは、新築マンションと比べ、取得価額がさほど変わりません。しかし、築年数が20年くらい経った物件なら、大きく取得価額が下落します。
そうした築年数が20年程度の中古マンションを購入してリノベーションすれば、新築マンションよりもトータルコストを抑えることも可能です。

さらに、リノベーションする際、内装材や設備などお金をかけるところと抑えるところに分けてメリハリをつけることで、さらなるコストダウンを図ることもできます。

事前に雰囲気が確かめられる

新築マンションの場合、建設途中のケースが多く、どんな人が住むマンションなのかがわかりません。
中古マンションを購入してのリノベーションであれば、現在住んでいる方の雰囲気などが事前に確認できます。状況を知ったうえで物件を選ぶことができるので、購入前の不安を払拭しやすいといえます。

マンション・リノベーションで何ができるのか?

何かと魅力の多いマンション・リノベーションですが、さまざまな条件があり「できること・できないこと」があります。
これから検討するうえでも重要ですので、下記にご紹介する項目を必ず確認しておきましょう。

マンション・リノベーションでできること

変更箇所 できること
間取りの変更 占有部分であれば、マンション室内の床、壁、天井を全て撤去し、間取りから全て変更が可能です。
内装の変更 住戸の内側の壁・天井において、表面仕上げ材の貼り替えや塗り替えは自由にできます。
フローリングの変更 フローリングを張り替えることは可能です。なお、床仕上げ材の変更の可否や遮音性能については、管理規約の確認が必要です。
室内ドアや建具の変更 室内ドアなど建具の変更は自由にできます。
天井の変更 天井を高くすることは、天井裏にスペースがあり管理規約上問題なければできます。
設備機器の交換 キッチンや浴室、トイレといった設備機器の交換ができます。
また、配管・配線・断熱材に至るまで全て取り替えることができるため、マンションルームの耐久性もアップし、新築に近い仕上がりにできます。
電気配線の移動・増設 コンセントや照明の移動は全面的にできます。

マンション・リノベーションでできないこと

変更箇所 できないこと
玄関扉の変更 マンションの玄関は、共有部分にあたるため、ドアの取り替え・外側の色の変更などはできません。しかし、内側の塗装は変えることができます。
構造体の変更 マンションの強度を支える構造体は、共用部分であるため撤去することはできません。お部屋の外周以外でも、コンクリートでできている間仕切り壁は、間取り変更を検討する際に注意が必要です。
パイプスペースの移動 排水勾配や換気ルートの確保のため、移動には制限があります。階下の天井裏に排水管が通っていると設備機器の移動は基本的にできません。
窓・サッシの取り替え マンションの窓・サッシは、共用部分のため取り替えはできません。断熱性を高めるインナーサッシの取り付けなどはできますが、ガラスの交換やフィルム貼りについては管理規約の確認が必要です。
バルコニーのリフォーム マンションの共用部分なので、物置を置いたり、壁に看板を提示したりすることもできません。

マンション・リノベーションの費用の目安は?

どれくらいの面積に対して、どこまで改装をするかによって費用が大きく違ってきます。
そのため一概には言い切れませんが、内装の変更や設備の取り替えといった部分的なリノベーションなら、だいたい250万円から500万円。間仕切り壁をなくす等の大規模なリノベーションであれば、600万円から1800万円くらいが大よその目安です。

リノベーションの種類 工事費用の目安
部分的なリノベーション 250万円〜500万円
大規模なリノベーション 600万円〜1800万円

さらに、使用する素材や設備にこだわるケース、例えばキッチンやお風呂などを特注にする等すれば、その分の金額も跳ね上がります。
そのほか、購入した中古マンションの老朽化の具合によっては、工事個所によっては費用がかかるケースも考えられます。

こうしたことから、どのように見積もっていけばいいか悩ましいところです。
そこで、捻出できる予算を決めてから、「何をどこまで改修したいのか」優先順位をつけてプランを立てることで、トータルの費用を抑えることも可能です。

中古マンションを買うなら、築年数20年が狙い目!

リノベーションを前提に中古マンションを購入するのであれば、築年数は20年くらいの物件が狙い目です。
上のグラフは、2015年における首都圏の「マンションと一戸建ての築年別平均価格の推移」を表しています。
新築マンションでは、ある程度の年数が経つと価格が下がります。その後、築年数が20年くらいの段階で、価格の下落は安定し、それ以降の大きな変化がなくなる傾向です。

安さを求めるのであれば築30年以降の物件も検討対象になりますが、建物や設備の老朽化によって修繕費がかさむ可能性があります。
築年数20年であれば、老朽化などのリスクが少なく、ある程度安く購入することができます。

マンション・リノベーションのケース別事例をご紹介

中古マンションを買ってリノベーション

中古マンションを買ってリノベーション01
中古マンションを買ってリノベーション02
中古マンションを買ってリノベーション03

築15年の「中古を買ってリノベーション」の施工事例です。マンション特有の窮屈さをなくし、ご夫婦+犬1匹で快適に過ごせる空間を実現。テレワークの時間が増え、仕事スペースでの時間が増えたため、空間の価値がとても高まっています。コロナ禍での生活スタイルに寄り添ったリノベーションです。

北欧風リノベーション

北欧風リノベーション01
北欧風リノベーション02
北欧風リノベーション03

築24年の「マンション・リノベーション」の施工事例です。家族構成の変化や、子育てがひと段落したことで、新築で購入をしたマンションを好きなテイストにリノベーション。「カフェ風にしたい」というご要望に合わせて、ナチュラルシャビーな雰囲気に仕上げています。

アンティーク調リノベーション

アンティーク調リノベーション01
アンティーク調リノベーション02
アンティーク調リノベーション03

間取りなどはほぼ現状維持し、居室の雰囲気をそっくり入れ替えてしまう全面リノベーションをした事例です。全体的にホワイトを基調とし、その中にノスタルジックを感じる柔らかさを取り入れた、「フレンチアンティーク調」をテーマとしました。キッチンの取手からドアの窓、壁や開口部の丸みなど細部に至るまで徹底してこだわったマンション・リノベーションです。

マンション・リノベーションの注意点は?

管理規約を確認する

これからリノベーションをする場合、特に中古マンション購入を前提としているのなら、管理規約を必ず確認することをオススメします。
実はマンションによっては、管理規約でリノベーションが制限されているケースがあるからです。例えば、間取りの大幅な変更がダメだったり、水回りの移動が不可だったり、フローリングの設置不可(床材はカーペットのみ)などがあります。
管理規約に制限があると、室内イメージの変更や設備の取り替え程度のリノベーションとなります。

構造を確認する

次に確認したいのが、マンションが「どんな構造なのか」ということです。
構造には「ラーメン構造」と「壁式構造」の2タイプが存在します。

マンションの構造 構造の説明
ラーメン構造 垂直方向に建つ「柱」と、柱をつないで水平方向にかけられる「梁」で構成された構造です。通常の建物であれば、筋交いなどで建物の強度や耐震性を確保するのですが、ラーメン構造では「柱」と「梁」のフレームだけで構造を支えます。
壁式構造 柱と梁の代わりに「壁」でマンションを支える構造のことです。室内には柱と梁などの出っ張りがなく、すっきりとした空間となるのが特徴です。

壁を取り払って間取りを大きく変更をしたいのなら、ラーメン構造が適しています。壁式構造では、構造の一部である壁には手を付けることができません。間取りはそのままで、空間のイメージを変える部分的なリノベーションとなります。

耐震強度を確認する

中古マンションを購入して改装したいと考えている場合、マンションの耐震性能を確認しておくと良いでしょう。

1981年に建築基準法の耐震基準が大幅改正され、旧耐震基準から新耐震基準となりました。
新耐震基準では、住宅やマンションなどの建物が震度6強、7程度の大規模地震でも倒壊しないように規定されています。

これから検討予定の中古マンションでは、新耐震基準に適合したものを選ぶことで、暮らしの安心・安全を確保できます。
旧耐震基準でも耐震改修・耐震補強をおこなっているマンションもあるので、いずれにしろ物件の耐震性能は確認しておきましょう。

なお、旧耐震基準の物件では、住宅ローン減税をはじめとする税額の優遇制度や補助金制度が利用できない可能性がありますので、ご注意ください。

断熱欠損でのカビの確認

雑な断熱工事で施工されていると、断熱欠損によって壁内結露が起こり、壁の中がカビだらけになってしまうことがあります。
さらにひどい場合になると、内装のクロス壁にもカビが発生してしまうことがあります。

※外壁面窓の周りにカビがあると要注意です。

基本、断熱改修をしないと改善することができませんので、増改築相談員など建築のプロに見てもらう必要があります。

まとめ

これを読んでマンション・リノベーションへの興味が高まった方もいらっしゃることでしょう。
マンション・リノベーションを実現させるためには、さまざまな条件がありますので、できること・できないことを含めた、各条件を知ることが第一歩です。
そのうえでご自身のご要望をどのように叶えたらいいのか、リノベーションに関する知識を蓄えた上で専門家に聞いてみてはいかがでしょうか。

【監修スタッフ】

無垢スタイルのリノベリフォーム 菊地純

増改築相談員 / 耐震技術認定者 / 外壁診断士 / 既存住宅アドバイザー / 福祉住環境コーディネーター2級 / LIXIL 窓マイスター / 雨漏り診断士

一戸建て、マンション、店舗などリノベーション専門の建築家とコンサルタントと一緒にデザインとコストを意識しながら理想の暮らしを実現していきます。また、中古住宅を購入してリノベーションでは、中古住宅探しからお手伝いをさせていただきます。このスタッフのブログを見る

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