無垢スタイルのリノベリフォームの吉田です。
今回は「50年前の床下の考え方」について、
古民家の床下の特徴などに触れながらお話したいと思います。
「古民家」とはどんな住まいを指すの?
最近、ちょっとしたブームの「古民家」。
定義をすると、今から50年ほど前の住まいにあたります。
古民家というと「築100年」とか「江戸時代」とかを想像しがちですが、実はそんな事はないのですね。
住宅が大量供給時代に入る昭和40年代以前は同じ様な工法で建てられており、
築50年程度の家は「古民家」に分類されるものが数多く存在します。(諸説あります)
古民家の床下ってどんなもの?
先日、調査した築50年前後の民家の床下写真です。
床板を支える木材全てが無垢材で、ほぼ丸太の状態で使用されている事がわかります。
木と木の間には隙間も多いですね。
奥に見える縦に幾重にも走る白い線は外側の光です。
また、1階床と地面との隙間が広く、この民家で70センチメートルほどありました。
現代の住宅の床下
こちらは築30年程度の戸建て住宅の床下で、大量供給時代の建物です。
木材は製材(寸法を均一に加工した)されたものを使用し、
職人さんが工事しやすく効率化が図られてきています。
コンクリートの基礎も普及してきています。
奥が暗いのはコンクリートの基礎に覆われているためで、
2m〜3mに1箇所程度通気用の穴を開ける事が一般的でした。
地面と1階床の隙間は約45センチメートルです。
この作り方は今でも普及している工法ですが、最近一般化されているのは
- ・耐震性を上げるコンクリート基礎
- ・断熱性を上げるための断熱施工
- ・湿気対策
- ・シロアリ対策
を施したものです。
古民家の床下と現代の床下の違い。それぞれのメリット・デメリットとは?
50年前の床下は、湿気を逃がすための工夫がなされており、
木材を健全な状態に保つための工夫がなされています。
- 【メリット】
- →長持ちします。
- 【デメリット】
- →冬、直接隙間風が室内に入り、底冷えします。
- →耐震性に不安が残ります。
一方、現代の床下は、湿気による様々な害に対策を施した工法となっています。
- 【メリット】
- →断熱性が向上した
- →耐震性が向上した
- 【デメリット】
- →しっかりとした施工をしないと不具合が生じる (シロアリ、断熱性・耐震性低下など)
50年前の古民家の床下は風通しと長持ちに特化した「シンプル構造」で、
現代の住宅の床下は性能を向上させた分、
発生する障害に対策を施した「複雑な構造」ということがわかります。
築20〜40年前後の床下は要注意
50年前と比べて変化しているのは工法だけではなく、
建てる場所も材料も、職人も住む人の考え方も大きく変わっています。
ひとつひとつに目を向けなければ、現代の性能は守られないというのが現状です。
注意したいのは、現在の工法が確立される間に建てられた建物、
築20年〜築40年前後の床下の状態です。
風通しが悪ければ、製材された木材には湿気が溜まり弱くなってしまったり、
隙間風が壁の中を登り結露、カビの発生原因になったりという状態が考えられます。
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